交番勤務の警官が、裸足で駆け込んできた二人の男女を見て、驚いていた。

「何日間かわからないけど、男たちに捕まって拘束されていました。助けてください」

一気に言った。

ここで室内の空気が変わった。今日が何日か聞いたら、最初に男と待ち合わせした日から、一週間目の朝だということがわかった。

警官が応援を呼び、あたしの事情は女性警官が聞くことになった。一緒に逃げてきた若い男には、同じように若い男性警官が付いた。それぞれに、違う小部屋に通された。

女性警官に、今日まで見聞きしたことを隠さずに話した。あたしは堰を切ったように、話し続けて、ふと自分の全身を見ると、そこらじゅう汚れてドロドロだった。

あの若い男と逃げてきて、財布も携帯電話も持っていなかったし、それにしてもよく靴も履かずにこれだけ走れたものだ。時間が経ってみると、足はガクガクだった。何日も、歩くことも許されず抑圧されていると、人間の機能は衰える。

今考えてみると、捕まった女性たちは逃げる気力も失くしていたのだ。決して自慢できる話ではないが、どんなときも自分で嵌まってしまった罠ならば、自分で這い出てくるという気持ちを強く持っていたい。

調書を取られて、女性警官が病院に付いてきてくれた。ひととおり検査をして、明らかに人体に有害なものは検出されなかった。

「もう懲りたでしょ。普通に奥さんしているのがいちばん幸せなのよ」

女性警官が言った。あたしはその言葉に納得できなかった。

でも、わからんちんの両親に会いたいと強く思った。あたしが監禁されて七日間、そのあいだ、捜索願いはどこからも出ていなかった。