「おはよう。あなたどうしたの?」
ユウタは視線をまな板に落としたままボソボソとこう言った。
「普段はなかなか言えてないけど、君にはいつも感謝しているんだ。これからは、たまにはこんな風に俺も朝食を作るように努力してみるよ」
思ってもみない言葉にサトコはお礼を言いつつ、再びロボットのお試し利用かしらと首をかしげた。視線をずらした先には、綺麗に整えたはずのリビングの棚が心なしか乱れている気がするのであった。
雨乞い
ピコーン、ピコーン、ピコーン。
「只今、日本国で雨乞いが観測されました」
観測官から報告が上がると、間髪入れずに司令官より命令が下る。
「うむ。それでは調査へ迎え!」
指をさされた調査官は、そそくさと目の前にあった雲の切れ端に乗り、現地調査へと向かう。
観測官から受け取った地図を頼りに、だいたいの目星をつけて高度を下げていく。すると腕を大きく振り上げ、頭を前後に激しく振る人々の姿が見えてきた。炎を囲み数十人で輪となって踊り狂う様は、なかなか狂気に満ちている。
土下座をして祈りを捧げたり、木の枝に願い事の短冊をくくりつけたり、雨乞いにもさまざまなスタイルがあるが、ここの地域はこうらしい。
さらに高度を下げていくと、調査官の姿に気づいたようだ。