ある日突然

帰宅したユウタはスマホ片手に目の前のカレーを表情も変えずに頬張り続けるのだ。

「美味しい? 時間をかけて作ったのよ」

「あぁ……うん」

しびれを切らしたサトコの問いかけにも、ユウタは返事ともいえない返しをしてくるだけだった。サトコはガックリと肩を落とし、会話はプツリと途切れたように終わりを告げた。

昼間の姿は仕事モードだったからなのか……。はたまた何か後ろめたいことでもあったのか……サトコの中で疑惑だけが深まった。

真相がはっきりしないまま数日が過ぎた頃、サトコの元に知らない番号から電話があった。

「もしもし……」

「お忙しいところ失礼致します。只今お時間はよろしいでしょうか」

軽快かつ事務的な女性の声だった。

「はぁ……」

何かの営業電話だろうと思い、気のない返事をする。

「先日は当社サービスをお試しご利用いただき、誠にありがとうございました」

「何のことでしょう?」

身に覚えのないことに不信な声色で応対するサトコに、電話の主はロボット会社のカスタマーセンターの者だと名乗り、スラスラと流れるように事の詳細を説明し始めた。

「当社では来月スタートする新事業のトライアルとして、ランダムにお試しご利用を提供させていただいておりまして、お客様はその一人ということでございます」

カスタマーセンターのお姉さんによると、先日現れた、話をしっかり聞くユウタは実はロボット会社から送り込まれたロボットであったと言うのだ。