本契約となれば、本人からロボットにきちんと引き継ぎがなされるので、親族などの情報を始め、仕事においても今まで通り、いやそれ以上の働きさえ可能になる。しかも、妻からの希望も反映できるので、家事分担などを新たに増やすことも可能ときた。
聞けば聞くほどメリットが多い気がしてくる。が、一つの疑問が湧く。
「なるほど、とてもよさそうなサービスね。ちなみに、このサービスを利用する場合、本物の夫はどうなってしまうのかしら?」
「それにつきましては、ご主人には当社の社員として、山奥にある秘密の工場にこもって働いてもらうことになります」
最新のロボットといえど、人間のように歳を取ることはできない。年に一回、老いるためのメンテナンスが行われるのだ。本物の夫はそのサンプルの役割として、そして新たに作られるロボット製造の要員として、山奥の工場で働き続けることになるのだそうだ。
非人道的な話にも聞こえるが、実情は異なるようだ。というのも、食事は和洋中さまざまな料理に、掃除が行き届いた綺麗な部屋が用意され、住環境はこの上なく整っている。加えて、それとは別に一人一人趣味を楽しめる部屋もあるのだ。
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