記憶を辿っても、とてもロボットとは思えないクオリティだった。まるで人間、ユウタそのものであった。ロボット技術の進歩はさまざまなメディアで取り上げられているが、まさかここまでになっていたとはサトコの想像をはるかに上回っていた。
「とてもロボットには見えなかったわ」
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
「それで、新サービスとはどんなものなの?」
「はい。当社の新サービスは、その名も夫代行サービスといいまして……」
どこの夫婦も多かれ少なかれお互いに不満を抱いているものだ。夫婦とは元を辿れば他人であり、全てをわかり合うなど不可能といっても過言ではない。
そこで考えられたのが夫を理想のロボットとし、本物の夫と交換をする夫代行サービスなのだそうだ。なぜ妻代行ではなく夫代行なのかというと、一般的に女性の方が現実主義であり、ロボットの配偶者を抵抗なく受け入れる可能性が高いためだという。
サトコは思ってもみない興味深い話にワクワクし、電話越しに身を乗り出して聞き入る。
お試しで作られたロボットたちは、まず妻の話をきちんと聞くという基本設定で送り込まれており、先日現れたロボットのユウタがサトコの顔を見てしっかりと話を聞いていたのは、そのためであることがわかった。
それに加え、見た目もほんの少しだが本人よりも美化されているらしい。見比べないとわからないレベルであるが、その違いは侮れないのだという。実際、サトコもカフェでのユウタの容姿に好印象を覚えていた。