テーブルに突っ伏していた純也は、渋々顔を上げると、いかにも気だるそうな声を出した。

「いいよな、行き先が決まった奴らは。こんなに暑いのに表情も涼しげだし、まるで菩薩だ」

「だったらお前も早く決めろよ。俺たちがズルしたみたいに言うな」

慣れた調子で純也をあやす壮亮は、厳しい視線を向けてはいるが見るからに楽しそうだ。

「できるならとっくにやってる。試験でいっぱいいっぱいだったって知ってるだろ。まあ、自業自得ってことは認めるけど」

しおらしく矛を収めた純也を気味悪く思ったのは、国生だけではなかったようだ。壮亮は軽く身を乗り出して、純也のうなだれた顔をまじまじと覗き込んでいる。

「でもさ、お前らはそんな腕白な純也君を、可哀想とか、可愛らしいとか、可憐だとか思ってくれてるんだろ? それならさ、せめて晩飯驕ってくんない? お前たちは勝ち組なんだから、当然俺を慰める優しさくらいは持ってるよな」

純也は戯(おど)けた上目遣いになって、お得意の科を作った。すかさず壮亮が目を輝かせる。

「じゃあ、とってもキモかわいい純也君には、学食のカツカレーをご馳走してやろう。今夜は何杯食ってもいいぞ。遠慮するな」

国生は思わず吹き出した。

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