合格しない生徒とは
合格しない生徒
私がこれまで関わってきた中で、なかなか合格しない生徒の特徴を3つ挙げましょう。1 学力不足、2 精神力不足、3 過信です。その特徴と私の行っている対処法をお話しします。
1 学力不足、2 精神力不足、3 過信という3項目の中で一番解決しやすいのは1の「学力不足」です。この場合はまず、各科目が基準点(合格の土俵)に達しているかをテストや授業でつかみます。
そしてその生徒の今の学力と基準点(合格の土俵)のギャップを埋めるように計画を作り、あの手この手で合格に必要なものを埋めていけば何とかなります。
その計画は生徒の性格、これまでの学習スタイル、モチベーションなどの要素を取り込みながら実現可能なものにします。もちろん現役生は学校での未修単元もありますし、なかなか一人で作成はできません。
医学部受験に精通していない人からは方向性の違うアドバイスが出てくることもあります(特に高校の進路指導)。
そして大切なのはその計画を実行できたのか、どの程度できたのか、何ができなかったのか、なぜできなかったのかといったチェックです。こうした見直しと改善がないとせっかくの計画も無駄になります。このあたりのことは後述します。
2の「精神力不足」とは、実力はあるのですが試験になるとなぜかパニックになってしまい力が出せないパターンです。
「試験の数日前からおなかを壊してしまった」「試験会場で緊張して手が震えて集中できなかった」「ケアレスミスをしてしまって、あとで見直すとなぜこんなことをしたかわからない」等がこの例です。
この場合は、カウンセラーも交えて少しずつ状況を改善していきます。メンタルのトレーニング、自己暗示、イメージトレーニングなどを通して「意識して自分を落ち着かせる方法」「確実にリラックスできる方法」などを習得します。
また、自己肯定感を上げて自信を持つことも必要です。割と時間がかかるパターンが多いのですが1年間かけて少しずつ克服していきます。
3の「過信」は実は一番厄介です。多浪生に多く見られます。簡単に言うと間違えた問題について理由を聞くと「自分的には……と思ったのですが」と答える生徒です。
すでに学習をしてある単元などについて、もう十分にやり込んでいたり自分のやり方が確立していると思い込んでいるパターンです。実際に大きな問題を抱えているわけではなく、ケアレスミスで失敗していることもが、たいていはもっと根が深いです。
授業で講師に教わったやり方を無視して「あります自分はこのやり方しかできないので」と自己流にこだわって、それに固執してしまうのです。すると、そのやり方では対応できない問題はもとより、我流を貫こうとすることで時間が無駄にかかり問題にうまく対応できなくなります。
さらにこの態度が行き過ぎると「これは問題がおかしい」ということを言い出します。自分が「問題の妥当性を評価する立場ではなく、単なる受験生である」という本質を見失ってしまっているのです。
素直になって新しいことを貪欲に吸収して、その上で自分で情報を整理して取捨選択することが必要です。
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