結婚のカタチ

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まずは、体験同居をしてみることにしよう。あれこれ考えているうちに新宿に到着。待ち合わせ場所の南口で健一が待っていた。とりあえず、今日はランチを楽しむことにしよう。

「やあ、ごめんね。予定通りいかなくって」

「大丈夫よ、先は長いんだから」美紀は明るく答えた。

「そうだね、今日のランチはお勧めだよ。いわゆる懐石風ランチで、お盆に載せるのが面白いんだ」

レストランは、南口から歩いて五分程のところにある甲州街道沿いのビルの十階にあった。

「いらっしゃいませ」

「今朝ほど予約した伊丹ですが、窓際の席取れていますか」

「はい、ご用意できております。どうぞこちらへお越しください」

石畳の道を歩いて行くと、窓に面してずらっと席が並んでいる。面白いのは、全員が窓に向かって座るようになっていることだ。

「あら、珍しい作りね」

「はい。ここからは展望が良いので、お食事と共に外の景色も楽しんでいただきたいと思い、このようなデザインにしたのです。どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。お料理はすぐにお持ちいたします」

「面白いだろ。夜もライトアップしたスカイツリーが見えて、またいい雰囲気なんだ」

「本当に素敵な景色ね。夜にも来てみたいわ」

「よし。では、今度は夜に予約を取ろう」

しばらくして前菜がきた。和風の器にほうれん草のお浸しを盛り付け、松の実が散らしてある。細長い小皿には練り物、和え物、ホタテの甘辛煮が並んでいる。ほうれん草を一口頬張る。松の実が香ばしい。

「まあ、上品な味ね。器も素敵」

「君に気に入ってもらえると思っていたんだよ」

美紀は順番に前菜を楽しんでいく。

「どれもいいお味ね。自宅ではこんなにいい味を出せないわ。次に出てくるものが楽しみになってきたわ」

「そうだろう。季節のお任せの品が出てくるから、当日まで何が出てくるか分からないのも良いんだ」

「じゃあ、時々来ましょうよ」三品目は、えびしんじょう。

「ここのえびしんじょうは格別うまいんだ。それに大きいだろう」

「確かにほかの店より大きいわね。あら、とても美味しいわ」