第一章 東京 赤い車の女

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ユミは毎日僕らを待っていた、だからそれがよくわかったというのだ。二日目、つまり最初に喫茶店で自己紹介をした翌日からすでにそうだったという。

「初めのうちは偶然だと思っていたのよ。でも、私が金沢の親友とどうしても会わなければならない用事ができて、午後だけになったことがあるでしょ、集合時間が午後一時で。あの時も二人はほぼ同時に来たのよ。横浜と北千住よ、やっぱり変だと思うわ」と言って、グレープジュースを一口飲んだ。

一緒に登場したからといって、それが特別なことなのかどうか僕にはさっぱりわからない。いつも同じ電車に乗れば、いつも同じ時刻に到着する、それだけのことではないかと思う。

集合が午後の日だけは、偶然そうなったと考えれば、二週間に一回くらい偶然が起きてもそれほどおかしなことではないと思う。僕はユミにそう伝えてオレンジジュースの最後の一口を飲み終えた。

「ところで、どうしてそんなに一人旅がしたいの?」と、ユミは突然、初対面の時と同じ質問をした。そして立ち上がり、食器類を持って下膳棚に向かって歩き始めた。

僕も黙ってトレーを持ち、彼女に従う。空き瓶をビンケースに収めてからふと見ると、ユミはさっさと階段を上がり始めていた。僕は小走りになって彼女を追いかける。

安田講堂から外に出ると、蝉が一斉に鳴きだした。というより、初めてそれに気がつく。

クーラーの音しか聞こえないところから突然真夏の中に放り出されて、むしろ爽快なくらいだ。