「入居者やご家族からご要望や苦情がもっともっとたくさん出るといいな」

「えっ」と思われるでしょうか。

老人ホームの施設長の方は、「苦情やご要望がないことは良いこと」と大きな勘違いをしていませんか。

私も、いろいろな老人ホームを指導しています。そうすると入居者やご家族からの「苦情やご要望が全くない施設」があります。私が「なぜ苦情やご要望がないのか」と問うと「とにかくそれがない」との回答なのです。

確かに苦情やご要望を入居者やご家族が伝える際、感情的になられることもあり、正直「嫌だな」という気持ちが分からなくもありません。感情的、つまり怒りを発するのは、恐らく新しい生活に慣れていないことなどに対する不安から生じるのでしょう。

そこで「苦情やご要望がない施設」では、このようなこと、起こっていませんか。

・苦情やご要望を受けるのが面倒だ、聴く気持ちがない。

・苦情やご要望に対する気づきがない。

・入居者や家族も苦情やご要望を言っても無駄だと諦めている。

老人ホームは「生活の場」なのです。

お客様の正当な苦情やご要望を「汲み取れない」ということは、サービス業として、プロとしていかがなものでしょうか。

私は、入居者やご家族からの苦情やご要望を伺い、それこそ数多くの宿題をいただいて「しめた、もうけた」といつも思っています。

なぜかというと、入居者施設運営において自分が気づいていない点を、苦情やご要望という形で「教えてくれる」ありがたいことだからです。

もちろん、これらの苦情やご要望をすぐに解決できるわけではありません。しかし、この苦情やご要望を施設運営向上のためのヒントとして、「ひとつひとつ」真剣に考え、しっかりと向き合うことによって、施設運営の質を必ず向上させられるはずです。

海老は成長するために苦しくとも脱皮し続ける。

私の運営する施設も、より良い施設にするために苦しくとも脱皮し続けます。

 

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