それではテイクオフの準備はいつ頃から始めるのがよいのかと言うと、各個々人がその気になったときとなる。それは早いに越したことはないとは思う。私はキャリア系の講師としてよく企業を訪れる。40代、50代の現役社員の方たちは今そこにある課題に関心が行く。
それはごく当たり前、当然のことである。しかし受講者の話や発言を聞いていると、思考の底辺には定年退職後の第2の人生に対する不確定感、不安が横たわっているように感じる。人生100年時代の第2の人生の「途轍もない世界」、「あてがいぶちのない世界」をなんとなく感じているようである。
私自身の第2の人生行動の準備、スタートは定年退職後から始めた。実感としては遅すぎるとは感じていない。50代までは必然的に現業ルーティンワークがあり、そこまでの準備活動ができなかった。ただ行った行動は二つである。
一つは空手道場(極真空手)に入門し稽古を始めたことだ。理由としては、定年退職後確実に到来する第2の人生を展望した際に、まず必須条件は、強靭な肉体と精神力の獲得であると思い、肉体的にも精神的にもより自分に負荷をかけ、鍛えなおそうと決意した。
二つ目は、「自分はいったい何者なのか?」「自分の求める価値観は?」このことをじっくり考えてみた。これだけである。
準備の時期、期間は各人、個人個人の状況および価値観により決めればよいことであるが、第2の人生に関するセミナー等気づきの情報収集はお勧めである。現行の60歳以降のシニアは「今までの経験を活かす」とか「自分のやり方に固執しない」とかステレオタイプな言及が多い。
それもありかもしれないが、第2の人生へのテイクオフ、スタートアップには「過去の経験は捨てる」、「自分のやり方をブラッシュアップし固執する」などアグレッシブな向きあい方も必要になる。
これからは年齢ではなく個人の資質・キャラクターが重要になる。今までの経験は使えるもの・いらないもの・ブラッシュアップの価値があるものに仕分けし、ファンダメンタルズ(※1)として活かすことが重要だ。
※1 個人の活動・キャリア発展のための基礎的基盤・要素のこと
【前回の記事を読む】定年後退職後の人生を考えるときに気になる単語がある。それは「老後」という言葉だ!