サプライチェーン・マネジメント(SCM)は、その「供給連鎖=チェーン」が滞りなく、効果的・効率的に機能するように管理することである。
物流は「モノの移動・保管」といった物理的な管理が主な対象となるのに対し、SCMでは、「需給管理」「在庫管理」といった、企業を跨いだ高度な管理が対象となるという違いがある。
このように両者は内容的には異なるものの、相互に補完的な関係がある。例えば、「サプライチェーン全体の在庫を削減する」というSCMの取り組みを実現するには、少ない在庫水準でも品切れを起こさないような、高品質な物流が必要である。
また、物流効率化によりコスト削減を実現するためには、納品先企業と連携して在庫を減らす、といったSCM分野の取り組みも必要である。このように、高度なSCMと高度な物流とは、お互いに補い合うような関係にあるのである。
以上のような両者の関係を踏まえると、どちらか片方だけを「重視」し、もう片方を「軽視」するということは通常はあり得ないことが分かる。「物流軽視」は「SCM軽視」につながるし、その逆も同様である。両者は一体不可分であり、同根の問題だということである。そして実際、日本企業におけるSCMに対する姿勢も、物流と同様の課題を抱えているのである。
なお、以下で物流軽視といった場合にSCM軽視のケースを含めて記述するなど、物流とSCMを明確に区分しない場合があるが、以上のような事情があるためであることをご了承いただきたい。