健康や生活を脅かす夜間頻尿とどう向き合うか

2.夜間排尿回数が健康のバロメーターになる

長期の間、数多くの診療をしてわかってきたことは、夜間排尿回数は、高齢者が1〜2回以内で管理できれば生活全般が健康的であると思うことです。この理由については後述します。活動水準が高く、季節に対応しリズムのある生活を送っていれば、夜間頻尿は少なく健康的な生活が送れます。

▼ 夜間頻尿の出現

老化の進行を遅らせ、自立生活を長くするにはどうしたらいいか、夜間回数とともに考えていきたいと思います。20代の若い時は動きが活発なので代謝量が多いが、年を重ねるにつれて次第に生活活動代謝量や基礎代謝量が減少していきます。

夜間頻尿に関しては、50代までなら無いのが当たり前ですが徐々に増えて行きます。60代以上では前立腺の組織の柔軟性が失われ、変形、肥大してくるし、それに加えて年齢的にも代謝量が減って睡眠が浅くなって夜間尿量が増えており、夜間排尿回数が増えて夜間頻尿の状態になる条件が整ってきます。

そして70〜80代では過活動膀胱症状が加わり、さらに頻度が増えていくのです。

▼ 年代的に見た内服治療の効き方

31年間の診察室での経験で、高齢者の行く末を概観してみます。50代60代70代前半までに前立腺肥大症や過活動膀胱になった人は、内服治療でよく反応し、夜間頻尿もすぐに正常化することが多いですが、それ以降の70代後半になると抵抗性を示す人が多くなってきます。

そこで生活指導で介入すると改善します。夜間頻尿が改善せず、生活指導で介入しなければならない人は、あまり意識した運動のルーチンワーク(定型活動)を持たず、活動水準が低くなっている人が多く見受けられます。