エッセイ 『あのころの世界』 【第3回】 えんどう としこ すぐに駆け寄ったが、間に合わなかった…後頭部から出血。病院では髪を剃った跡もないのに、医師は「縫合した」と言う。よく見ると…… 【前回の記事を読む】「止める間もなかった」…預けていた5歳の長男がテーブルに足をかけた瞬間、鋼鉄製の台座が倒れ、後頭部を直撃し……私は彼が足をテーブルにかける瞬間を目にして駆け寄ったが間に合わなかった。息を切らして彼を追いかけ、追いついたスタッフは青ざめてブルブル手が震えていた。声も出なかった。私は震えているスタッフに、「どうして部屋から出したの!!」と怒鳴ったが、返事など聞いていられなかった。…
小説 『who am I』 【第6回】 千戸 嶺 小学校・中学校でいじめられて気づいた、“いじめられる人”の法則。理由なんて単純だった。私は標的から外れる為に、逆の立場になった。 【前回の記事を読む】いじめで学校に行けなくなった娘より、玄関前の自転車を気にする母…それが“不登校の証拠”となり、周囲の住人にバレるからで……不登校の期間、私が唯一心を落ち着けられた場所があった。近所の小さな図書館だ。市営の、古びた建物。蔵書は多くない。新刊もない。でもそこは静かだった。不必要に声をかけてくる人間がいない。笑い声が聞こえない。誰かの視線が刺さらない。その無関心さが心地よかった。登…