小説 詩 恋愛 2024.12.16 詩集『ホロス』より三篇「ぽつりと光に投げ込まれたのです…家から締め出された不良少女のように」 ホロス 【第9回】 rim. 何かひとつでも、あなたの心を軽くするヒントがきっとある――。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 季節のゆるやかな移行とともに、誰しもが経験する様々な感情をのびのびと描いた詩集。※本記事は、rim.氏の書籍『ホロス』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 全身に目 私たちは死ぬために生きている 死に向かって生きている それぞれが見ている世界が やがては一つの大きな世界に
小説 『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』 【第2回】 行久 彬 父は一月のある寒い朝、酒を大量に飲んで漁具の鉛を腹に巻きつけ冷たい海に飛び込み自殺した… 智子は実直で潔癖なところがあり、今までも孝雄の参加した漁協主催の親睦旅行先での下卑た出来事を漁師仲間たちが面白そうに話すのを聞く度に嫌な思いをしていた。そんな話に慣れることはなく、むしろ話を聞く度に智子は夫に対する不信と不愉快さを心の中に蓄積させていったのだった。「あの男ならさもあらん」智子はそう思い、主婦から聞いた町の噂に疑いを持つことはなかった。噂が耳に届いた日、智子は待ち兼ねたように漁から…
小説 『泥の中で咲け[文庫改訂版](人気連載ピックアップ)』 【第20回】 松谷 美善 16歳の夏、母が脳梗塞で突然死んだ。未成年のうちから、両親がいなくなり路頭に迷ってしまった。なぜこうなってしまったのだろう… 【前回の記事を読む】「至急、入院の準備をしてこちらの病院へ行ってください」と言われ、頭が真っ白になった!迎えにきた、民間の救急車の運転手に問われたことにも曖昧に返事しているうちに、私はうとうとしてしまったようだ。病院に着いて車が裏門のようなところを入って、起こされた。緊張から、よけい熱が上がった状態で、私は言われるままに車を降り、指定された通用口から病院に入った。待っていたのは驚くほどの量の書類…