<授業内容:山田耕筰の歌曲を聴く>

対話の記録・教室の様子 

交通整理の意図と技術

(まだ騒がしいが、そのままの状態で『赤とんぼ (女声ソロ)』をかけ、短く “聞”かせて問う)

取っ掛かりをつくるため、騒がしい状況であってもCDをかける。静かになるのを待っていたら、いつまでも開始できない。

教師:気づいたことは?

児童:女の声。

どんな反応であっても、それを糸口に、そこから展開していく。

(態度にはいい加減さが見える。薄ら笑っている)

教師:なるほど(黒板に書いておく)。他には ?

児童:ない !

反応があったら、間を空けてはいけない。

(まだ姿勢は斜めである)

教師:……では。

(間髪入れずに『赤とんぼ (混声四部)』をかける)

……変わったか ?

まずは受け止めて、そこから掘り下げていく

児童:大きくなった。

教師:ほう、いいところに気づいたな !

……で、何が大きくなった?

児童:音が。

教師:どうして ?

児童:人数が増えたから。

教師:何人に?

(複数の児童が答え始める)

児童:6人。/100人。/50人。

挙手等の時間のロスを避け、自由にどんどん発言させる。ふざけた発言は、このあと、自然に淘汰されていく。

教師:ほう。100人に聞こえるか?

児童:いや、50くらい。

教師:なぜ 100人でなくて 50人くらいだと判る?

児童:なんとなく。

教師:その「なんとなく」というのも重要な感じ方だ。では、とりあえず、6~50人でいいかな。随分と幅があるが。

答えを多く求めすぎない。トー タルして豊富に出ればよいと、 序盤は腹を括る。どんどん進も うとすれば、意欲の高まった子 どもは発言を挟もうとし始める。

児童:あ!

教師:何?

児童:男もいる!

教師:ほう !

せっかく勢いがついてきたので、 ここで深入りしない。

(ここで深入りせずに次の曲をかける。『この道 (女声二部・重唱) = 1番はソロ』……かけると同時に反応がある)

児童:あ、女だ。

言葉はよくないが、今ここでそれを注意すると終わってしまう。 後日「女声」という用語に置き換えて教えればよい。

(= 2番に入ると重唱になる)

児童:増えた !

教師:何が増えた ?

児童:人数が、2人に !

教師:どうして 2人と分かる ?

児童:ズレ。

教師:ズレてはいないでしょう? ぴったり合わせて歌っているもの。

いいたいことは分かるが、説明できないもどかしさを感じさせることで、どうにか表現しようという意欲が高まる。