【前回記事を読む】えぇ? 思わず硬直した。肩にティーナが寄りかかっていた。一応声をかけてみたが、起きる気配は全くない。何をしていいか分からず…
第二章 旅立ちと仲間
綺麗だ
「お前……なんかぶるぶる震えてるけど大丈夫か? そんな寒いか?」
「いっ、いや! 大丈夫!」
「にしては不自然なくらいに震えてるけど……熱でもあるか?」
「ない! 大丈夫!」
(とても『怖いから震えてます』なんて言えない!)
「へーえ……」
ログはいまいち納得していなさそうな顔をしている。これは絶対に疑われている。これで「怖い」と思っていることを知られたら……想像しただけで恥ずかしい。
「なぁ、ティーナ」
そんな時、ログが話しかけてきた。いったい何を言うのだろうか、そう思って振り向いた時、
「きゃああっ!?」
振り向いた瞬間、目の前でパンッと手を叩かれた。突然の出来事にびっくりして、ティーナは悲鳴をあげた。目の前には、ログが叩いた手をおろしながらニヤニヤしていた。
「めっちゃビビってるじゃねえか」
ここまで楽しげなログを見るのは初めてだ。人をわざわざ驚かして、こんなにニヤニヤして。やっていることが子供と同じじゃないか。
「おどかさないでよ! 怖いじゃん!」
「ふうん、やっぱり怖いのか?」
「なんでわざわざこんな事するのー!」
ティーナはポコポコと軽くログを叩く。だが、むしろ彼は面白がっているようだ。余計にいらつく。だが、それも楽しいと思ってしまっている自分がいる。
ずっとナギサと二人きりだったから、こんなふうに同年代の人とふざけあうのは初めてで、楽しかった。