「夏あたりに見える流星群でね、何年か前にナギサと一緒に見たんだけど——」

星を見ながら話す彼女の瞳には、星のような輝きが満ちていた。楽しそうに話すティーナを見ると、なぜか笑みがこぼれた。

「ん? どうかしたの?」

ティーナはログの視線に気がついたのか、きょとんとした顔でログを見つめた。ログには、星よりティーナのほうが輝いて見えた。理屈も理由もわからないが、ただ……

「綺麗だな、って思って」

「ログもわかってきたかあ。綺麗だよね、星!」

「……あぁ、そうだな。さーて、そろそろ行くか」

よっこいしょ、と反動をつけて立ち上がるログに、ティーナはあからさまに嫌そうに言う。

「えぇ、もう夜遅いしここで寝ちゃってよくない?」

「木の根で地面がぼこぼこしてて寝にくい」

「そんくらい我慢しなよ! ログだってもう眠いでしょ?」

「さっき洞窟で寝たばっかりだろ」

「あ、そうだっけ。でももう眠いよ」

「ガキかよ……」

「誰がガキだよ!」

「俺から見たらガキだ」

「はぁ~~? たった一、二歳差でしょ!」

「それでも俺のほうが年上だ!」

せっかく星を見て良い雰囲気になっていたのに、いつものように仲良く喧嘩をしてしまう。もはやこれは、お決まりの展開になってしまっているのかもしれない。

そして、ガキかどうかという話はどこへいったのやら、いつのまにか喧嘩の内容が「宇宙人の存在の有無」という議論に切り替わっていた。

次回更新は7月7日(月)、12時の予定です。

 

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