【前回記事を読む】教えられた大量の情報を全て覚えているなんて、「記憶力がいい」のレベルを超えている…まるで、人間じゃないみたいだ。

第二章 旅立ちと仲間

綺麗だ

「水……! やった、水だ!」

靴は濡れてしまったが、久しぶりに水を見つけることはできた。まさか洞窟の中にあるなんて、とてもラッキーだ。

「ログー! 水あった!」

「えっマジか!?」

水たまり、というより小さな湖に近いだろうか。水に足が浸かった時、すぐに足を引っこめたから気づかなかったが、この水たまり、底が深い。少なくとも、ティーナが底まで入ったらすっぽり埋まるくらい。危うく溺れ死んでいた、と肝を冷やす。

水たまりはゴミ一つなく、澄んでいて底まで透き通って見えた。ろ過しなくても飲めそうだけど、一応ろ過と煮沸はしておいたほうがいいだろう。

「うわぁ、マジで水あったのか」

「あ、ログ来た」

隣にログが来て、水たまりを立ったまま、覗き込んでいた。

「洞窟ん中に水があるとかラッキーすぎんだろ」

「今日で一生分の運使い果たしたかもね」

「いや、それはねえだろ」

ティーナの言葉に、ログは笑って返す。ここ数週間、暑さでお互いにイライラしてほとんど「暑い」「水欲しい」などの話しかしていなかったから、こういう雑談をしたのは久しぶりかもしれない。

そのあと、火を起こして水をろ過して、念のため沸騰させて、少し冷ましたら、二人とも水を一気に飲みほした。

「んんん~! おいしい!」

「うまい……!」

水のありがたみに、二人は感謝していた。ティーナはわかりやすく大胆にはしゃぎ、ログは静かに幸せを噛みしめていた。

そろそろ飲むのをやめようかな、とログがコップを置いた時、肩になにかが乗っかった。そこそこ重いから、肩に乗っかっているものをどかそうと視線を移した時、ログは思わず硬直した。