ある日、一人の子どもが私に話しかけてきました。
児童:先生。先生のお勉強ね、とっても楽しくて、好きだよ。
教師:おお、そうか、ありがとう。
児童:分かりやすいように、一所懸命に工夫してくれて、何通りもの方法で説明してくれて、嬉しいよ。
教師:ちゃんと授業を聴いていてくれて、ありがとうね。
児童:でもね。教師:でも、どうしたの?
児童:それでも分からないんだ……。バカだからいけないんだ。ごめんね、先生……。
私は絶句しました。子どもは自分で自分を責めている。分かるように教えることができていないのは教師である私なのに。……こんなことを子どもに言わせてしまうなんて、なんて最悪なことでしょうか。
この出来事を境に、私のスタンスは様変わりしました。教えることに注力するよりも、子どもの発言の交通整理をいかに行うかということに重点を置くようになりました。そうすることで、子どもがどのように捉え、理解していくかということの様々な様子が分かるようになってきました。
ベテラン教師になる前に気づくことができてよかったと感じています。