俳句・短歌 歌集 自然 2023.07.12 歌集「緑葉の里」より三首 歌集 緑葉の里 【第16回】 上條 草雨 大いなる自然と文明遺産に抱かれて この地球(ほし)に住まう この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 枯れ枝えだで寒さに耐えた街路樹に新生命しんせいめいの青葉あおば萌えてる 夕闇に赤紫の柴の花色濃いろこさを増す美しさ哉 電灯に照らされ浮かぶ蛾一匹がいつぴき近づき行ゆくと闇夜に消えた
小説 『差出人は知れず』 【第8回】 黒瀬 裕貴 免許返納を拒んだ老人がブレーキを踏み間違え、車は妻に突っ込んでいった…事故後、夫は「加害者家族を妻と同じ目に遭わせたい」 【前回記事を読む】「母さん。死んじゃ駄目だ。俺、まだなんにも親孝行出来てないんだよ。」中学生の男の子は嗚咽しながらも話しかけることをやめない「俺たちが何をしたっていうんだろうな」亡霊のように佇む東は両の拳を強く握る。爪が皮膚を食い破り、血が滴るのではないかと思うほど強く。「こんな……こんな目に遭わなければならないことを涼子がしたっていうのか。生きていれば無意識に人を傷つけることだってあるだろう。…
小説 『大人の恋愛ピックアップ』 【第89回】 大西 猛 先生の存在を全身で感じたかった。顔をもっと近くで見て、匂いをもっと近くで嗅いで、言葉を鼓膜が痛くなるぐらい近くで聞きたかった。 【前回の記事を読む】教壇の机の上、忘れられた筆箱を、あの人の体に触れるかのようにそっと優しく触った。そこからあの人の手の熱まで感じ取れそうだった。職員室の前に着くと、立ち止まって乱れている呼吸を整えた。ドアの向こうにあの人がいるのだという思った瞬間、緊張は喉元にまでせり上がってきた。私は自分の頬を軽く叩いて気持ちを静めると、ドアをノックした。「失礼します」私はゆっくりドアを開いた。最初に目に入っ…