【前回の記事を読む】【SF小説】遺物「金の卵」から孵化したのは、目に見えない透明な鳥だった
惑星キチェケ
地底都市フンハウ
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ワルテルの研究室はパソコンの他遺跡の写真が洗濯物のように吊してある。全部金の卵の部屋の復元写真だ。
クステリア「見えないのは不便ね」
クステリアはあくまでアタワルパが気になるらしい。金の卵の殻を引き出しにしまうと写真を片手に自慢げに話し出した。
『ケツァルコアトルとテスカトリポカは冥界から来た。農耕を伝え創造を伝えた。あるとき互いに喧嘩しそれぞれ勢力で戦争を始めた。ケツァルコアトルは勝ったが統治しようとせず旅に出た。テスカトリポカの遺品の神の卵は埋葬された』
クステリア「太陽のピラミッドはテスカトリポカが埋葬されていたの? 死者を祀る文化も2人が冥界からきたから? インカの人々はその冥界を目指して生きていたの?」
ワルテル「どうなんだ? アタワルパ」
アタワルパ「冥界というのは地下深くの都市のことですよ」
ワルテル「地底都市か? 熱とかどうなっているんだ?」
アタワルパ「現地に行けばわかりますよ」
クステリア「連れて行ってくれるの?」
アタワルパ「もちろん、瞬間移動の能力で」
ワルテル「……準備が必要だな」
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スコット教授は考古学世界の重鎮だ。年は68歳というおじいさんだ。アポイントを取って研究室に入る。
ワルテル「部屋の中はアトランティスの資料でいっぱいなんですね」
スコット「ああ、だから君の研究には注目していたんだ。メキシコシティは古くはテノチティトランと呼ばれていた。このアステカ族は故郷はアストランだと言ったという。アメリカ大陸の文明はアトランティス民族の末裔と思うんだよ。……遺跡を発見したらしいな。詳細を」
太陽のピラミッドの地下の部屋、金の卵、アタワルパと話を続けた。放射性測定器の結果が165億年というくだりは眉をひそめたが、アタワルパにスコットの肩に乗るよう指示すると顔色が変わり、あちこちの研究機関に連絡を始めた。
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スコットの尽力によって5人の人物が集まった。
「地質工学教授をしている野崎信介だ、よろしく」
「放射性測定およびニュートリノ透視測定の第一人者よ。これでも、名前はクステリア・ガモフ」
「インカ考古学のワルテル・アパソロだ」
「生物学者のケイン・アバーエフだ」
「冒険家および警備担当のゼイル・アンクテイル」
「スコット・マクドネル。アトランティスを探している考古学の変わり者だ」
あとは労働力として雇った屈強な男が3人。