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「すぐにでも行きたいところだけど人数が多いから一番適した場所から行きます」

とアタワルパが選んだ場所はバミューダ諸島にほど近い場所だった。

電波状況が悪くなる。あたりが霧に囲まれた。信介が不思議な虹の球に囲まれ消えた。スコットが不思議な虹の球に囲まれ消えた。ケインが不思議な虹の球に囲まれ消えた。クステリアが不思議な虹の球に囲まれ消えた。ゼイルが不思議な虹の球に囲まれ消えた。ワルテルが不思議な虹の球に囲まれ気づいたときには見たことの無い世界だった。

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ダイヤやエメラルドの山、砂鉄の砂漠、しかも、上を見上げると逆さまに自分たちの姿が見える。どこまでも続くダイヤやエメラルドの山(エメラルド巨大原石のようだ)、砂鉄の砂漠は色も様々で川が湖から遠くの上流に流れているように見える。船が遡って移動しているのだ。

スコット「ここがアトランティスか?」

アタワルパ「まあ、ここの住人が昔世界中旅していた頃もあるからね。いろいろ伝説を残してるみたいだね」

信介「ここがどこか観測する準備をします」

ワルテル「どうやって?」

クステリア「地震計の観測から割り出すか、ニュートリノを観測するかじゃない? それで見つかるならすでに見つかってる。無理よ」

信介「岩石などの成分分析の比較を行う。それならできるだろ?」

クステリア「そうね、比較は面白いかも」

アタワルパ「それでは都市部まで瞬間移動しますか?」

ゼイル「いや、せっかくだから歩きながら調査をしよう」

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歩きながら時々、信介は岩石を採って顕微鏡で見ている。

信介「……堆積岩は見当たりませんね。少なくとも。放射性測定器の方はどうですか?」

機械類を屈強な男に持たせながら自身はタブレットでデータを見るクステリアは、「測定の結果がおよそ202億年。どうなっているの? ここは」と言う。

ワルテル「森が見えてきたぞ」

ケイン「シダ類が目立つな。しかし、これは見たことも無い分類だ。松の進化版というのか。イチョウのような植物もある。しかし、これは……一体どれだけの進化を乗り越えたのか?」

ゴジラのように直立に歩く小型のリスのようなトカゲがいた。栗ではなくイチョウの実を囓っている。外敵を知らないのか警戒心がない。風が吹いた。砂鉄の砂埃が舞う。一同は咳き込む。

ケイン「進化というのは絶滅の危機があるから適応した種が生き残り別の種として残る。しかし、ここでの進化は違うらしい」

後ろを眺めると山麓から眺めるかのように元いた場所が見える。

その遠くにはまた地表が平たい山脈のように見える。平地を歩いてきたはずなのだが……。