俳句・短歌 歌集 自然 2023.06.15 歌集「緑葉の里」より三首 歌集 緑葉の里 【第14回】 上條 草雨 大いなる自然と文明遺産に抱かれて この地球(ほし)に住まう この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 春はる巡めぐり紋白蝶がヒラヒラと雑草ざっそうの上柴しばの上舞う 宵闇に多種たしゅの庭の木其々それぞれに希望宿やどして佇んでいる 爛漫らんまんに誇り咲いてるパンジーが春の日差ひざしに気持ち良く揺ゆれ
小説 『約束のアンブレラ』 【新連載】 由野 寿和 ずぶ濡れのまま仁王立ちしている少女――「しずく」…今にも消えそうな声でそう少女は言った 二〇〇三年の年末。猛烈な雨が、差しているビニール傘を氷のように叩きつけている。静岡県藤市にある藤山を局地的な大雨が襲っていた。静岡県警の鳥谷(とりたに)は手に持っていた新聞を口でくわえると、慌ててしゃがみ込んだ。泥でぬかるんだ足元に、大量の水が靴を侵食する感覚が襲った。「こんな雨の中、こんなところにいたら風邪をひいてしまう。ここは危険な場所だ。お嬢さん、名前は?」少女はずぶ濡れのままその場に仁王…
小説 『兎角儚きこの世は』 【第4回】 白井 忠彦 「年貢を納めるのはお前達の義務だ。できないというのは国に反旗を翻すのと同じだ」そう言うと、棒で農民達を容赦なく叩き付け… 「年貢を納めるのはお前達の義務であり、それができないというのは国に反旗を翻すのと同じである」そう言って手下の者達を呼び、棒で農民達を容赦なく叩き付け、痛め出したのです。その光景を連れの一人を経由して理解したユンはさすがに我慢ならず、男と同じ高官仲間と身分を偽ってユン自ら屋敷に入りました。「これは失礼。最近近くに越してきたホン・ギュと申します。お取込み中申し訳ないのですが、粗品も持ってきてますし、…