重綱さまは鳳仙花の熟した実のようなおひとだ。情義や恩義、仁義が触れるだけで勢いよくはじけ飛ぶ鳳仙花の実。そんな重綱さまの姿を思い描いて、お殿さまをちらとうかがって両手をそろえて叩頭する。お殿さまは新しい書状をたたんで文机に置き、前に届いた何通もの書状の中から一通を取り上げて、独り言のように読み上げられた。
「六日、後藤又兵衛、薄田隼人をはじめ九十一もの敵将の首級を挙げ……。七日、片倉隊は敵将八十六の首を……。首帳によれば、六、七日で伊達軍の討ったのは二百十余名だそうだ…」
熟れて割れた無数の西瓜が、ごろごろ転がっている畑の光景が頭をよぎった。
「片倉隊は……」
思わずわたくしは言いさしたものの、それ以上は口にできなかった。
「さよう。片倉は八名の戦死者を出した。ずんつぁまの……せがれも戦死」
「あ、ずんつぁまのせがれどのが……」
ずんつぁまは戦という戦で、常にお殿さまの傍らにいたという旧臣である。その息子が死んだ。元気に晴れやかに出陣して行ったあの美々しい隊列の中の八名は、今はこの世にいない。戦に死者はつきものだが、万感胸に迫った。