エッセイ 人生論 短歌 生き方 2020.07.13 短歌集「生きる」より三首 短歌集 生きる 【第4回】 田中 祐子 心かが折れてしまいそうなとき、 寄り添い支えあう、心の歌。 原爆の悲劇、夫との死別、複数の病との闘い……。時代に翻弄されながらも困難と向き合った歌人が、自らの経験を生きる糧に代え、詠みあげる709首。平和で豊かな未来を願い、いまを生きる人に伝えたいメッセージを、連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 御衣黄の薄きみどりに照る朝日いにしえ人の衣に似しとか 眠られぬ夜を現われる雑念よ「無」にならんとして瞼を閉じる 悩みごとひとつ抱きてうつうつと一日終わりぬ日記をつける
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『紅の脈絡』 【第5回】 水無月 慧子 切り開いている「道路」という名の地獄道の完成予想図を見て土俵に上がる直前のように目を輝かせ… 千鶴が口を開いた。「何人殺めたのかは知らないけれど、それ以外に道がなかったんでしょう? あなたの生真面目で愛妻家なところから考えると、そう思えるわ」虎太郎の目に涙が浮かんだ。ゆきも涙を流していた。「千鶴。僕が思うに虎太郎くんは正当防衛だ」「やっぱり!」ゆきが虎太郎の大きな手に、自分の痩せた手をのせた。「何があったのか、想像はつくわ。ゆきさんは美人だもの。虎太郎さんは、ゆきさんを暴漢から守るため、…