「メガネで病気が予防できる」という考え方は言いすぎでしょうか?
2眼鏡店の挑戦
応用物理学会・生理光学部門において1974年より三年間にわたり四度、五テーマの発表を行いましたが、学会発表時の反響はどうだったかといえば、質問者はほとんどがどこかの大学所属の眼科医で、「そのような研究内容は欧米では既になされているものではないのか」、「人体実験をやったのか」、「そのような結果が出せるということは、特別な装置を使っているのではないか」といったようなレベルの質問ばかりでした。
肝心の「メガネと眼が及ぼす身体への生理的影響と、疲労に対するメガネの効能」について疑念を投げかけたり、反論をしたりする方は皆無だったように記憶しています。
眼鏡店の店主とその家族が共に唱える、「眼精疲労用メガネによる予防医学説」は長い間孤立無援状態でしたが、前田珍男子博士の本に出会ったことで、我々が唱えるより半世紀以上前に酷似の学説を唱えた偉大な眼科医がおられたことを知ることができました。
眼因性疲労の起こる原因、それに対する処置の方法、疲労の及ぶ範囲が広範であることなどあらゆる点で共通点がありましたので、我々の「眼と健康の実態調査」による研究は前田氏の説を裏付けることになったことを改めて知ることになりました。
専門家のあと押しのないまま長年過ごしてきただけに、このような医師がおられたことで私たちにとって大いなる自信と勇気をいただきました。
眼鏡店の仕事は、申すまでもなくメガネをお客さまに販売することです。メガネは眼の一部になるものなので心して扱い、妥協のないメガネ作りを心がけなさい、と修業した東京の眼鏡店の社長から教えられたものです。
今も昔もメガネといえば専らハッキリと物を見るために掛けるものとされていて、メガネを掛けていることを忘れるほど、眼と顔にフィットしたものを良いメガネだ、と言う人がいます。さらに付け加えるならば、メガネは遠方・近方共に無理なく見えて、メガネが疲れを起こさせないものが良いメガネと言えると思います。
世間一般では、メガネは視力の悪い人が使うもの、視力が良い人には不要なものと信じられているようです。眼は外部の視覚情報を得るための器官だから、その役目を果たせておればそれで十分であるとの考えに異論を挟む人はほとんどいないことと思います。