【前回の記事を読む】肩こり、頭痛は目から来ている!眼精疲労用のメガネの効力

第二章 眼因性疲労を知る

1 眼因性疲労(Oculomotor syndromes)とは何か

誰が主導すべきか、眼因性疲労治療のためのメガネ

前田氏は、「それはメガネの効用です、このメガネをあなたの命と引き換えに、しばらくのあいだ辛抱したまえ」と諭し、患者さんたちはメガネを装用し続けます。ついには当初前田氏が予測した通りこのメガネで遠方も見えるようになり、多くの患者さんたちが視格矯正法で処方されたメガネで神経衰弱が回復したそうです。

前田氏は神経衰弱が眼からくることを世の中の人に知らしめるために本の出版などの広報活動を積極的にされましたが、何より特筆すべきことはメガネを掛けて神経衰弱が良くなった多くの患者さんから大変感謝されたことです。そのことを自らの著書の中で讃えている耳鼻科の医学博士もおられるほどです。

『往年前田博士が「眼と神経症」という本を書いて、世上の青年子女から済世王の如くに崇拝されたことがある』神経衰弱と蓄膿症 林熊男著より

神経衰弱の治療を目的にしていない眼鏡店においては、遠方のぼやけるメガネを“命と引き換えに辛抱したまえ”と言うわけにはまいりません。お客さまのメガネ度を決定する際に一番ナーバスになるのが視力です。

どういうことかと言えば、メガネ装用でどれだけはっきり気持ち良く見えるようになるかということは、一人一人のお客さまにとってメガネを評価する上で最も重要な要素になりますから、メガネを提供する眼鏡技術者にとっても眼鏡店にとっても最も関心の集中するところです。