□健康行動の変容
生活習慣病のように生活を変えることで予防ができたりする疾患については、「行動の変容」に関するモデルを活用した援助を検討することも重要である。行動の変容とは患者の行動を変化させることである。ここでは代表的なモデルである「変容のステージ」、「保健信念モデル」について確認する。
・変容のステージ
心理学者のプロチェスカ(J.O.Prochaska)が提唱したモデルで、5つのステージが示され各ステージに応じた支援を行うというものである。行動変容の5つのステージは以下のとおりである。
①無関心期:6ヶ月以内に行動をおこそうという気がない
②関心期:6ヶ月以内に行動をおこそうという意図を持っている
③準備期:30日以内に行動をおこそうという意図を持っている
④実行期:行動変容が観察されてから6ヶ月未満である
⑤維持期:行動変容が観察されてから6ヶ月以上たっている
支援を行う場合、行動変容のどのステージにいるかを確認し、無関心期であれば行動変容の支援を行っても受け入れられない場合があるので、まずは関心を持ってもらうための関わりが必要である。また、無関心期から関心期の段階になったとしても、ステージが戻ったりする場合もあるので確認が重要である。
・保健信念モデル(ヘルス-ビリーフ-モデル:Health Belief Model)
保健信念モデルは50年以上にわたり、健康行動における理論的枠組みとして最も広く使われてきたモデルの一つである。アメリカの社会心理学者のグループが病気を予防し、早期発見するプログラムに人々が参加しない理由を解明しようとして開発した。その後、臨床症状に対してどのように人々は反応するのか、診断のついた病気にどのように反応するのかといった問題に応用され発展してきた。