第2節 食事と排泄に関する知識と援助を知る

3)排泄について

排泄は主として排尿と排便だが、それぞれの排泄の仕組みは異なっており、その違いを理解したうえで援助を行う必要がある。いずれも排泄物が排泄口(排尿の場合は尿道口、排便の場合は肛門)に付着することで皮膚の汚染につながり、結果、感染にもつながるため清潔に保たれなければならない。

(1)排泄の意義と援助の必要性

排泄とは排尿、排便だけでなく、身体から外部に排出する全てのもの─汗、涙、呼気、女性の場合は月経等─を含む。排泄は内部環境の恒常性の維持のためには重要な機能で、老廃物を除去することで体液量、体液の組成、pHのバランスを維持している。

生体にとっての排泄の意義だけでなく、排泄行為が自分でコントロールできることは生活を営むうえでも重要である。失禁があれば社会生活にも支障があるだけでなく、自尊感情にも影響する。排泄物は臭いがし汚物として扱われるが、感染の原因にもなることからも援助の時には適切に処理する。さらに、排泄器官を人に見られることは羞恥心が伴うことであり、プライバシーへの配慮が求められる。

他方、排泄が生理的欲求であることからも排泄することを我慢せず、排泄時に無理なく排出でき、排泄後に十分に排出できたという満足感があることも大切である。排泄の援助では、援助を頼むことが嫌だ、気が引けるという場合もあることから、援助者から声をかけて促すように心がける。

また、ベッド上で援助をする場合にはカーテンを閉めるなどプライバシーの保護に気をつけ、終了後には換気をする。排泄物の取り扱いにはディスポーザブル手袋を着用し、排泄物はごみ袋に入れ適切な場所に捨て、終了後には手を洗う。

(2)排尿

尿は腎臓で生成され、尿管を通り膀胱に貯留されたのち、膀胱内圧が100mmHg以上となると尿意を感じる。蓄尿反射により300~400ml程度の蓄尿ができ、トイレに行き排尿できる準備が整った後に、尿意抑制が解かれ、自律神経の支配を受けて膀胱が収縮し、内尿道括約筋・外尿道括約筋の弛緩という排尿反射が起きて尿を排出する(図1、図2)。

[図1]畜尿反射(尿を溜めておく仕組み)
排尿障害に関するQ&A | 看護roo ![カンゴルー](kango-roo.com)を参考に作成
[図2]畜尿反射(排尿の仕組み)
排尿はどのような仕組みで行われるの? | 看護roo ![カンゴルー](kango-roo.com)を参考に作成