水分摂取量、食事量は排尿量や排尿回数に影響する。また、不安、緊張、ストレスといった心理的要因に伴い、排尿回数が増えるといった頻尿をもたらす。排泄された尿の観察は、回数、量だけでなく性状(色、混入物の有無、においなど)は身体内部を反映しているため重要である。
正常な尿は黄色透明で、糖尿病・尿崩症では水様希釈尿、悪性腫瘍・結石・炎症によって血尿、脱水は黄褐色の濃縮尿である。健康診断で尿検査があるように、排泄物の観察が生活の中での健康チェックになりうるのである。
■排尿の援助
性別により排尿方法は異なるので、男性と女性での援助方法を知っておく必要がある。特に、女性は外尿道口から感染しやすく、膀胱炎といった症状が発症することがある。トイレ使用時は温水洗浄便座を活用し、肛門、会陰部周辺を洗浄することで清潔を保つようにし、温水洗浄便座が使用できない場合でもペットボトル等を利用して温水を入れ洗い流すといった工夫が大切である。
トイレトレーニングで排泄の自立を促す場合、排泄後の後始末では、排泄物が付着したままにならないようにし前から後ろに向かって拭く方法を教える。尿や便が皮膚に接触することによって生じる炎症(失禁関連皮膚障害:incontinence-associated dermatitis;IAD)があり、排泄物の速やかな除去は炎症の予防にもつながる。
移動動作の低下や体動制限は排尿自体に問題はなくとも、排泄までに時間がかかったりスムーズに行動ができずに失禁につながる場合がある。排泄の失敗は、排泄物の除去と汚染部分の清潔といった援助が必要となり、疲労へとつながる。
また、援助の必要な人にとって失敗したことは苦痛であり尊厳の低下を感じる経験である。移動における転倒を防ぎ、排泄時の失敗がないように早めにトイレへ誘導する、声をかけるといった援助を心がける必要がある。また、食事をする前、移動をする前に排尿を済ませておくことで余裕が持てる。