俳句・短歌 四季 2022.06.01 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第109回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 幾羽いくわもの野鳥の群れに驚きと 蜻蛉一匹漂うを見る 草の上木々の傍かたわらあちこちに 紋白蝶が清純せいじゆんに舞う 電動車でんどうしや沿道走る気持ち良さ 樹木の香る清涼な風
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第29回】 春山 大樹 「お母さんにも何度も謝った。あの子のために何かしたくてこの病院で働いてる」と泣く、彼女を昏睡状態に追い込んだ元いじめ加害者 【前回の記事を読む】「不審死した二人と元同級生である看護師について、警察が関連を調べています。」…非常にまずい。これではまるで彼女が犯人だ「おいおい、ちょっと待ってくれよ。確かに俺はあいつらを殺してやりたいと思う時もある。だが、本当に殺したりはしない。それに、君らが見たという梨杏のことはどう説明するんだ? あと、確かに今一日四回もインスリン注射しているけど、今のところ毎回、看護師さんが持ってきて…