この時代、旅人が村内で行き倒れて亡くなったり、病で倒れた場合、名主経由で代官所に届けねばならなかった。しかし一日二日のことでもあり、名主預かりということで面倒なことでもなければ代官所に知らせる必要もないだろうということになった。この日の出会いが伊助にとって運命の出会いとなった。天明から天保にかけての飢饉を必死に生き抜いていったふたりの人生が今、はじまろうとしていた。時に天明三(一七八三)年八月、…
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