狢むじなはプシプシプシと足音を立てて私たちの愛の部屋カトマンザにやってきた。カトマンザ薄闇の中を一匹のたぬきが歩いている。狢むじなと呼ばれるそのたぬきは平坦な砂丘のような景色の中を、遠くに見える光を目指して黙々と歩き続けていた。それは夕暮れに家の窓に灯ともる明かりのような暖かな色の光で、訪問者トリッパーが愛の部屋カトマンザを見つけるための最大の手懸かりとなる。愛の部屋カトマンザ、この不可思議な空…
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