その日、待ち合わせ場所の飯田橋駅で、人混みを離れた橋の上から改札を出てくる典子を待った。梅雨が明けたばかりの西の空は真っ赤に染まり、そのなかに新宿方面のビル群が切り絵のようにくっきりと黒く浮かぶのを、ぼくはいくどとなく首をまわして眺めていた。五分遅れて着いた典子を、ぼくは一瞬見ちがえた。背中まであった長い髪は肩の上でばっさりと切られ、ノースリーブの黒いワンピースが小柄なからだをつつんでいた。流行…
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