秦の始皇帝に仕え、不老不死を求めて日本にやってきたとされている徐福。
それから八百年、厩戸皇子と隋の煬帝に遣わされた二人の密使により明かされる、徐福の術と巨大な策略とは。
飛鳥時代の日本を舞台に、中国に古くから伝わる伝説を描いた冒険小説。
斑鳩宮に、かつて武術師範として名を上げた老剣の姿があった。
「蝦夷に行き、八百年前に秦から来た渡来人の末裔を捜してほしい」
皇子の上命により、遠い北への旅に出た老剣一行は、遣隋使である仏僧・法広の感じとる「気」を頼りに、ある村に辿りつく。
そこで目にした火の山、不気味な土人形、そして古の方士・徐福の言い伝え。
村の者たちに残された使命を探るうち、一行は陰謀の渦に呑まれていく――。