「猛之進……おぬし、それほどまでにそれがしを疎むのは何故だ」「……」「どうした。わけを言え」「おぬしと反りが合わぬは昔からだが、正直なところ自分でもよくは分からぬ。おぬしの方もそうしたものであろう」「ふむ……瑞江をおぬしに嫁がせる話がでたとき、父御や母御はともかくそれがしは不承知であった。それはおぬしのその生まれついての曲がった性根だ。何れは瑞江にとって災いとなるに違いないと思っておった」「何を…
[連載]刀の反り
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小説『刀の反り』【第8回】大髙 康夫
「たった今、人を斬ってきた」「いったい誰を?」答えないまま、夫は私の手を取った。荒い息遣いで布団の上に押し倒され…
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小説『刀の反り』【第7回】大髙 康夫
自分の腹に刺さった脇差を信じられないものでも見たような顔付きで見詰めた。「命の遣り取りに卑怯などと言うことはないわ。何をしようと勝てば良いのだ」
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小説『刀の反り』【第6回】大髙 康夫
私闘は幕府によって禁止されているが、誰も酔っぱらった二人を止めることはできない。人気のない境内で刀を抜き...
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小説『刀の反り』【第5回】大髙 康夫
久方ぶりに盃を交わす二人の武士。しかしやがて二人の会話は押し問答となり遂には刃傷沙汰に...?!
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小説『刀の反り』【第4回】大髙 康夫
須田家に家宝として伝わってきた「名工郷則重の刀」。無名の剣だと言われ言い争いになる二人
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小説『刀の反り』【第3回】大髙 康夫
雌雄を決することができなかった竜虎と呼ばれた二人は決着をつけようと立ち合いをして…
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小説『刀の反り』【第2回】大髙 康夫
こやつ、家宝を愚弄する気だな。則重の太刀を認めない幼馴染へ浮かんだ考えは…
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小説『刀の反り』【新連載】大髙 康夫
先祖代々家宝として引き継がれ伝えられてきた太刀。この刀が贋作ではないかと疑われ…