【前回の記事を読む】「たった今、人を斬ってきた」「いったい誰を?」答えないまま、夫は私の手を取った。荒い息遣いで布団の上に押し倒され…「いいえ、わたくしは須田の家の者です。おまえ様の振る舞いはわたくしの振る舞いなのです。それに、須田の家に輿(こし)入(い)れたときからある覚悟を決めて参りました」「覚悟……何だそれは……」「両家に何事か起ころうとも、わたくしは須田の家を決して裏切るまいと誓を立て輿…
[連載]刀の反り
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小説『刀の反り』【第9回】大髙 康夫
「輿入れたときから覚悟していました。両家に何事か起ころうとも、この家を決して裏切るまいと。」夫が私の兄を斬ったとしても…
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小説『刀の反り』【第8回】大髙 康夫
「たった今、人を斬ってきた」「いったい誰を?」答えないまま、夫は私の手を取った。荒い息遣いで布団の上に押し倒され…
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小説『刀の反り』【第7回】大髙 康夫
自分の腹に刺さった脇差を信じられないものでも見たような顔付きで見詰めた。「命の遣り取りに卑怯などと言うことはないわ。何をしようと勝てば良いのだ」
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小説『刀の反り』【第6回】大髙 康夫
私闘は幕府によって禁止されているが、誰も酔っぱらった二人を止めることはできない。人気のない境内で刀を抜き...
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小説『刀の反り』【第5回】大髙 康夫
久方ぶりに盃を交わす二人の武士。しかしやがて二人の会話は押し問答となり遂には刃傷沙汰に...?!
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小説『刀の反り』【第4回】大髙 康夫
須田家に家宝として伝わってきた「名工郷則重の刀」。無名の剣だと言われ言い争いになる二人
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小説『刀の反り』【第3回】大髙 康夫
雌雄を決することができなかった竜虎と呼ばれた二人は決着をつけようと立ち合いをして…
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小説『刀の反り』【第2回】大髙 康夫
こやつ、家宝を愚弄する気だな。則重の太刀を認めない幼馴染へ浮かんだ考えは…
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小説『刀の反り』【新連載】大髙 康夫
先祖代々家宝として引き継がれ伝えられてきた太刀。この刀が贋作ではないかと疑われ…