弥十郎は構えを上段に素早く戻すと横殴りに剣を振るった。その時である。猛之進の猛打するように打ち下ろした刀身が弥十郎の刀の棟を叩いたのだが、鍔元二、三寸のところからまるで飴細工ようにぽきりと折れたのである。弥十郎は一瞬あっと声を上げたが、直ぐに後ろに飛び下がると脇差(わきざし)を引き抜いた。それから気息を整えるように長い息を吐くと再び猛之進と対峙した。弥十郎はどことなく先ほどよりも落ち着いたように…
[連載]刀の反り
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小説『刀の反り』【第7回】大髙 康夫
自分の腹に刺さった脇差を信じられないものでも見たような顔付きで見詰めた。「命の遣り取りに卑怯などと言うことはないわ。何をしようと勝てば良いのだ」
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小説『刀の反り』【第6回】大髙 康夫
私闘は幕府によって禁止されているが、誰も酔っぱらった二人を止めることはできない。人気のない境内で刀を抜き...
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小説『刀の反り』【第5回】大髙 康夫
久方ぶりに盃を交わす二人の武士。しかしやがて二人の会話は押し問答となり遂には刃傷沙汰に...?!
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小説『刀の反り』【第4回】大髙 康夫
須田家に家宝として伝わってきた「名工郷則重の刀」。無名の剣だと言われ言い争いになる二人
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小説『刀の反り』【第3回】大髙 康夫
雌雄を決することができなかった竜虎と呼ばれた二人は決着をつけようと立ち合いをして…
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小説『刀の反り』【第2回】大髙 康夫
こやつ、家宝を愚弄する気だな。則重の太刀を認めない幼馴染へ浮かんだ考えは…
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小説『刀の反り』【新連載】大髙 康夫
先祖代々家宝として引き継がれ伝えられてきた太刀。この刀が贋作ではないかと疑われ…