大声で罵り合う声が板場にまで聞こえ、女将が何事かと血相変えて駆けつけてきた。「お武家様……子細は存じあげませんが、ここでの無理無体な振る舞いは何卒ご勘弁をお願い致します。他のお客様のご迷惑になりますので……」常日頃から客同士の争いごとなど慣れているのであろう。女将は怖れる様子もなくいさ毅然とした態度で諫める言葉を口にした。「ふむ……心得ておる、女将……心配いたすな。このような場所で騒ぎは起こさぬ…
[連載]刀の反り
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小説『刀の反り』【第6回】大髙 康夫
私闘は幕府によって禁止されているが、誰も酔っぱらった二人を止めることはできない。人気のない境内で刀を抜き...
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小説『刀の反り』【第5回】大髙 康夫
久方ぶりに盃を交わす二人の武士。しかしやがて二人の会話は押し問答となり遂には刃傷沙汰に...?!
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小説『刀の反り』【第4回】大髙 康夫
須田家に家宝として伝わってきた「名工郷則重の刀」。無名の剣だと言われ言い争いになる二人
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小説『刀の反り』【第3回】大髙 康夫
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小説『刀の反り』【第2回】大髙 康夫
こやつ、家宝を愚弄する気だな。則重の太刀を認めない幼馴染へ浮かんだ考えは…
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小説『刀の反り』【新連載】大髙 康夫
先祖代々家宝として引き継がれ伝えられてきた太刀。この刀が贋作ではないかと疑われ…