【前回の記事を読む】家宝の刀、郷則重。脱藩して2年…仕事も失い食うに困った今、質に入れるか、入れまいか…。寝転がっていた猛之進は半身を起こして暫く考えていた。どのくらいの値がつくのか聞くだけ聞いてみても損はあるまい。加えて、弥十郎が執拗なほど言っていた刀身の反りも気になるところである。起き上がったが少しふらついて足元が覚束無い。昨日から食べ物らしい食べ物を口していないのだ。米の残りはあと僅かであ…
[連載]刀の反り
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小説『刀の反り』【第11回】大髙 康夫
飢えと誇りの狭間に生きる浪人・須田猛之進。江戸の片隅、裏長屋に身を寄せる男が剣に託した一縷の望み
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小説『刀の反り』【第10回】大髙 康夫
家宝の刀、郷則重。脱藩して2年…仕事も失い食うに困った今、質に入れるか、入れまいか…。
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小説『刀の反り』【第9回】大髙 康夫
「輿入れたときから覚悟していました。両家に何事か起ころうとも、この家を決して裏切るまいと。」夫が私の兄を斬ったとしても…
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小説『刀の反り』【第8回】大髙 康夫
「たった今、人を斬ってきた」「いったい誰を?」答えないまま、夫は私の手を取った。荒い息遣いで布団の上に押し倒され…
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小説『刀の反り』【第7回】大髙 康夫
自分の腹に刺さった脇差を信じられないものでも見たような顔付きで見詰めた。「命の遣り取りに卑怯などと言うことはないわ。何をしようと勝てば良いのだ」
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小説『刀の反り』【第6回】大髙 康夫
私闘は幕府によって禁止されているが、誰も酔っぱらった二人を止めることはできない。人気のない境内で刀を抜き...
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小説『刀の反り』【第5回】大髙 康夫
久方ぶりに盃を交わす二人の武士。しかしやがて二人の会話は押し問答となり遂には刃傷沙汰に...?!
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小説『刀の反り』【第4回】大髙 康夫
須田家に家宝として伝わってきた「名工郷則重の刀」。無名の剣だと言われ言い争いになる二人
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小説『刀の反り』【第3回】大髙 康夫
雌雄を決することができなかった竜虎と呼ばれた二人は決着をつけようと立ち合いをして…
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小説『刀の反り』【第2回】大髙 康夫
こやつ、家宝を愚弄する気だな。則重の太刀を認めない幼馴染へ浮かんだ考えは…
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小説『刀の反り』【新連載】大髙 康夫
先祖代々家宝として引き継がれ伝えられてきた太刀。この刀が贋作ではないかと疑われ…