しきりと、父の口癖を思い起こす。曰く――「寧ろ燕雀(えんじゃく)と翔(か)けるも、黄鵠(こうこく)に随(したが)って飛ばず」。大きな羽を広げて天空にはばたく白鳥より、燕や雀と一緒に飛んでみるか。曰く――「寧(むし)ろ鶏口(けいこう)と為(な)るとも牛後(ぎゅうご)と為る無(なか)れ(※1)」。今の新聞社で老いぼれた牛のしっぽにしがみついていても、時代の流れという遠心力で吹き飛ばされるのがおちだ。…
[連載]三代の過客
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小説『三代の過客』【第7回】大村 泰
打診=内々示。「俺の言うことがきけないか。内々示の拒否ということでいいんだな」執行猶予一週間、期限つきの最後通牒を…
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小説『三代の過客』【第6回】大村 泰
「おまえ一人の力でいったい何ができる? でかいヤマを当てようと思ったら、ちっとは人間関係を大事にしろ。」
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小説『三代の過客』【第5回】大村 泰
十五年前大手新聞社の記者だった頃にスカウトされ、その時のやりとりが思い出されてきて…
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小説『三代の過客』【第4回】大村 泰
答えたくない問いには逆質問ではぐらかし、質問を逆手にとって相手を怒らせ必要以上の情報を自白させるのが常套手段の「大将」
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小説『三代の過客』【第3回】大村 泰
ゆくゆく、この男が微妙な立ち回りをすることになろうとは、この時点では気づかなかった
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小説『三代の過客』【第2回】大村 泰
朦朧とするなか迎えた終戦六十回目の正午。阪神甲子園球場にサイレンが鳴り響く
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小説『三代の過客』【新連載】大村 泰
三世代の人生の道行き、生き様から、より良く生きるための道しるべを見つけてほしい