安本の語気が少し強くなっていた。タルタル電気は一部上場の大得意先で、取引額もずば抜けて大きい。電気部品の売り上げを積み上げれば、数十億になるはずだ。営業五課に所属する甲野はタルタル電気の担当セールスで、売り上げナンバーワンを誇っていた。俺から見れば、たまたま運良く宝の山にポイッと投げ込まれたからだとしか映っていない。二十五歳のメタボ体型の姿が目に浮かんできた。「安本、脅かすようなことを言うな。ヒ…
[連載]透視男
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小説『透視男』【第13回】上田 晄暉
「キックバックの帳尻合わせに、横領を擦り付ける…ターゲットは僕なんです。助けてください」捨てられた子犬のような目で…
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小説『透視男』【第12回】上田 晄暉
「透視力を他の者のために使ってきたようじゃな」仙人が現れ太郎を褒める。しかし太郎には更なる試練が待ち構えていて...
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小説『透視男』【第11回】上田 晄暉
「私、あなたのことが好きなの。私でよかったら…」涙ぐんだ彼女の声がフェードアウトした。彼は一瞬ぼう然としていたが…
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小説『透視男』【第10回】上田 晄暉
いよいよ決戦のとき。出社したての課長をつかまえて「内密の話」がありますと囁き…
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小説『透視男』【第9回】上田 晄暉
受注率百パーセント、事務処理ノーミスだった有能な営業マン。初めてのミスをカバーできるようになってこそ本物!
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小説『透視男』【第8回】上田 晄暉
俺の視線を一度そらすと、ひと呼吸おいて視線を戻し「好きですよ。山沖さんのこと」と…
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小説『透視男』【第7回】上田 晄暉
童顔のアシスタントにぞっこん。ミスをかばったが事態は悪化してついに課長に…
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小説『透視男』【第6回】上田 晄暉
屋上のベンチに寝転がっていたら、隣から営業課長の部下いじめの話が聞こえてきた
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小説『透視男』【第5回】上田 晄暉
「何? やだ、告白でもする気なの。悪いけど私、年下にはあまり興味ないわよ」
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小説『透視男』【第4回】上田 晄暉
授けられた“透視力”で人助け…社内いじめを解決しようと試行錯誤
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小説『透視男』【第3回】上田 晄暉
「俺は幻覚を見ていたのではない」...ついに特殊能力を自覚する
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小説『透視男』【第2回】上田 晄暉
「一体全体どうなっているんだ?」“憑き物”が見えるようになった男の混乱
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小説『透視男』【新連載】上田 晄暉
クリスマスイブの夜、冴えないサラリーマンの前に現れたのは…?