木下家の末子は、六人続いた男子の後に生まれた作代の二歳下、一九二四(大正十三)年三月に生まれた芳子である。長男・寛一郎との年の差は二十二歳であり、このときの周吉の年齢は四十八歳、たまは四十四歳であった。働き者の両親が一代で浜松屈指の「尾張屋」を築いたことだけでもすごいことだが、八人の子供たちに愛情を注ぎながら立派に育てたことは、木下家の血を引く孫の一人として、私が祖父母を尊敬する所以である。しか…
      [連載]木下恵介とその兄弟たち
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【最終回】木下 忍
        脚本家・楠田芳子。彼女の通う浜松の女学校は映画館禁止。そこで、映画を観る目を養わせるために、名古屋まで…
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第20回】木下 忍
        ギリシャでは、二番目の女の子を妻の母親と同じ名に命名するという仕来りがある。晩年の母・作代は孫の作代と共に暮らした。
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第19回】木下 忍
        母の思いを受け継ぎ、兄・恵介の妹として生きなければならなかった長女の作代。98歳で亡くなるまで浜松の中山町の家で生涯を送る
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第18回】木下 忍
        木下家待望の女の子。男ばかりの中に生まれた長女・作代の存在は、兄弟たちに今までと違った明るさをもたらした。
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第17回】木下 忍
        映画では愛ゆえに苦しむ人間の心を巧みに表現していた兄。自分の嫂さんへの想いは理解してもらえず家を出ることを決意し袂を分かつ
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第16回】木下 忍
        「恵さん、僕はずっと前から嫂さんに想いを寄せています。しかし、政二兄がいる以上…」
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第15回】木下 忍
        引揚げ後の八郎の日本での生活は、貴重な思い出がズタズタになるほど、惨めなものに…
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第14回】木下 忍
        よりにもよって敬愛する兄の妻に恋心を抱いてしまった八郎。どうすることもできず…
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第13回】木下 忍
        木下恵介の弟・木下忠司が自らプロデュースした映画に込めた想い
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第12回】木下 忍
        兄からの心配の手紙「雑な仕事をしていると誰からも嫌われてしまいます」
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第11回】木下 忍
        「作曲家だけはやめておくれ」何気なく将来のことを話すと反対した母…その真意は
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第10回】木下 忍
        人の好い敏三は騙されて、住むことができない北海道の山林の土地を買ってしまった!
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第9回】木下 忍
        病弱で徴兵検査に不合格。幸運にも、家族と終戦を迎えることに…
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第8回】木下 忍
        父から後悔と謝罪の手紙...「何時かは手を握り合って暮らしたい」
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第7回】木下 忍
        「おとうさんはいまでも しのぶちゃんのうまれたしな(支那)がなつかしいです」
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第5回】木下 忍
        出迎えてれた夫の家族…生まれて初めて送った「何不自由のない幸せな生活」
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第4回】木下 忍
        「出て行きなさい」弟たちに慕われる優しい次男が起こした不肖
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第4回】木下 忍
        昭和初期、未曽有の不景気の真っただ中…恵介の兄が取った驚きの行動
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第3回】木下 忍
        飴1つ買えないほどの時代から一変…「尾張屋」を継いだ長男の手腕
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      評論『木下恵介とその兄弟たち』【第2回】木下 忍
        映画監督・木下恵介に「あんな理想的な夫婦はめったにいない」と言わしめた祖父母の姿とは
 
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