和木重太郎は十四歳の歳で江戸に出た。父親の重郎左衛門が加持惣右衛門に頼んで紹介状を書いてもらい、重太郎は江戸本所松倉町にある念流美濃島道場の内弟子となった。その道場は、加持惣右衛門がまだ新宮寺司と呼ばれていた頃に客分扱いで通った剣道場で、道場主は美濃島勇斎、師範代は勇斎の娘お耀の婿となった近江橘である。近江橘は重太郎に普通の木刀の三倍の重さの木刀を渡し、「一日千回振れ」と命じ、一年間は道場では見…
[連載]祥月命日
-
小説『祥月命日』【第13回】深江 允
誰よりも稽古熱心だが…剣術使い、重太郎の持つ「迷い」とは
-
小説『祥月命日』【第12回】深江 允
立ち入れないはずの危険な海。「噂を統合」して真実を探ると…
-
小説『祥月命日』【第11回】深江 允
文句なしの剣術と人間性…謹厳実直な和木重太郎という青年
-
小説『祥月命日』【第10回】深江 允
潜入捜査で耳にした噂…浮かび上がった不可解な疑念とは
-
小説『祥月命日』【第9回】深江 允
幼少期から秘術の修行…忍びの一族に生まれた諸星玄臣という男
-
小説『祥月命日』【第8回】深江 允
【時代小説】最終的には「砂糖」に目をつけた…抜け荷で金儲け
-
小説『祥月命日』【第7回】深江 允
【時代小説】城下で「大量の砂糖が出回っている」のはなぜか?
-
小説『祥月命日』【第6回】深江 允
正しい情報を集めるには「来るもの拒まず」で接することだ
-
小説『祥月命日』【第5回】深江 允
水害を見越し…藩民を餓死から救った敏腕、浦紗屋太一という男
-
小説『祥月命日』【第4回】深江 允
【小説】「戦国時代、戦に負けると人の運命が劇的に変わる。」
-
小説『祥月命日』【第3回】深江 允
「巡回中の番士」の不可解な死…彼は何を見てしまったのか?
-
小説『祥月命日』【第2回】深江 允
【時代小説】不可解な番士の死…異国船の難破との関係は?
-
小説『祥月命日』【新連載】深江 允
【時代小説】二人の男の目的は「番士の行方不明事件調査」
- 1
- 2