【前回の記事を読む】バイク事故から随分と時間がたった。入院してもうすぐで1年半。あとは呼吸さえできれば、家に帰れると言われているが…まさ子は、冷凍庫から小箱を出した時の、伸枝のギラついた瞳を思い出していた。(気が触れたように……。あの人も、充くんの死に納得できるまで、どこまでも歩いていくのかもしれない……)順子は少し話題を変えた。「医療もね、私が現役だった頃とは全く違っているの。例えば、私たちの…
[連載]トオル
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小説『トオル』【最終回】井原 淑子
「脳死になると、知らないうちに臓器を取られる……なんてこと、ありませんよね」びっくりしていたが、茶化さずに答えてくれた
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小説『トオル』【第18回】井原 淑子
バイク事故から随分と時間がたった。入院してもうすぐで1年半。あとは呼吸さえできれば、家に帰れると言われているが…
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小説『トオル』【第17回】井原 淑子
息子の"脳死"の状態は病院の都合で作られたものなのか…? 彼女の「病院にいてはだめ」という言葉が胸に引っ掛かり…
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小説『トオル』【第16回】井原 淑子
息子の遺体があまりにも軽い……。経帷子を払いのけて見たら、喉のあたりからおへその下までまっすぐ切られていて…
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小説『トオル』【第15回】井原 淑子
"息子は殺された"と言う彼女を見て私は噂話を思い出した。『あの病棟に行った人は帰ってこられない。普通でない死に方をする』
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小説『トオル』【第14回】井原 淑子
『病院を告発する!息子の臓器を返せ!』そう書かれたチラシを持っていたのは、同じ部屋に入院していた子の母親だった
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小説『トオル』【第13回】井原 淑子
部屋を移ってから月々の病院費は15万円増えた。医療保険から1日あたり3千円の給付が出るが、全額はまかなえるはずもなく…
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小説『トオル』【第12回】井原 淑子
「入らなくて正解。あそこはかなりヤバそうなの」「ヤバいって?」息子が入るかもしれなかった病棟には"噂"があった
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小説『トオル』【第11回】井原 淑子
「退院……できるんですか?」——医師の言葉を聞いて、彼女は目を輝かせた。しかし、医師は(期待させすぎたかな…)
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小説『トオル』【第10回】井原 淑子
事故から1年。喋ることができない息子は「要らない」「イヤだ」を示すために振り払う。その腕は母親の顔を直撃した
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小説『トオル』【第9回】井原 淑子
「できない〜、先生無理!できないよ〜!」リハビリ訓練室。膝関節を一見無理に曲げさせられている患者だが顔は笑っていて…
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小説『トオル』【第8回】井原 淑子
バイク事故に巻き込まれ、重傷を負った息子。加害者に補償を求めるも、「賠償に充てられるものはない」ということが分かり…
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小説『トオル』【第7回】井原 淑子
息子の唇が動いたような気がした。「起きた?起きたの?」そして、手に取っていた中指がピクンと痙攣し……
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小説『トオル』【第6回】井原 淑子
ベッドとベッドの距離が近く、全員裸。——全てが「医療者」目線であり、患者の「意思」や「心地よさ」は無視されていた
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小説『トオル』【第5回】井原 淑子
術式の説明を終えた医師は、患者の両親が退室した途端「旦那の方が説得しやすかった。理論でいけた。」…本当は医療ミスがあった。
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小説『トオル』【第4回】井原 淑子
こんなに汚い病室に息子を入れるなんて……意識がなくても人として扱われていない
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小説『トオル』【第3回】井原 淑子
息子が眠る治療室は、窓全開で網戸に埃。天井から雨漏りのように何かの液が滴り落ちてきて…
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小説『トオル』【第2回】井原 淑子
息子は歩道を歩いていたがバイク同士の接触事故に巻き込まれて重度の脳挫傷。飼い犬のジョンもまた事故に巻き込まれて亡くなった
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小説『トオル』【新連載】井原 淑子
「この犬を連れた青年が事故に遭って、今、U総合病院に救急搬送されました」事故に遭ったのは私の息子だった