馬房の掃除や馬たちの世話を手伝ったご褒美として、僕たちは時々河川敷に走りに連れて行ってもらった。それは最高の楽しみだった。どこまでも青く広がる夏空にぽっかりと綿のような雲が浮かび、川面(かわも)を渡る涼しい風がおでこに張り付いた前髪を吹き乱す。バネ力のあるバロンの長い脚が生み出す乗り心地は、まるで雲に乗っているようだと言って、恭ちゃんは大喜びで叫んだ。「ぼくは孫悟空さまだぞー」アートも、狭い馬場…
[連載]ハロー、わたし!
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小説『ハロー、わたし!』【第5回】澤 幸希
眩しいほど綺麗な女の子だ。彼女以外の女の子を好きになるなんてありえない、と確信した。
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小説『ハロー、わたし!』【第4回】澤 幸希
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小説『ハロー、わたし!』【第3回】澤 幸希
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小説『ハロー、わたし!』【新連載】澤 幸希
クリスマスイブ。一緒に過ごす彼女もなく、予定のない僕に母親からある頼み事をされ…