家のテラス近くから歩道までの東側の地形は全体が緩やかに傾斜し下っている。全面高麗芝だけだった庭を花壇に改造する時、典子はそこに父の時にはなかった道を付けてもらった。一つは園芸に必要な資材、肥料や堆肥を運ぶ為ではあったが、もう一つはそこを薔薇の小道にする為だった。S字形の緩やかなカーブで上っていく三十メートルほどのアプローチができ上がった。その工事と併行してその両側に、レンガで組んだ花壇を付けても…
[連載]薔薇のしるべ
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小説『薔薇のしるべ』【第6回】最賀茂 真
この日をどれほど切望してきた事だろうか。だが一方には、それを恐れる心が…。堰が切れるように、固く誓った事までも…
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小説『薔薇のしるべ』【第5回】最賀茂 真
まだ着いたばかりなのに、今にも帰るような話になってしまったのを悲しく思った。
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小説『薔薇のしるべ』【第4回】最賀茂 真
「泊めていただけるという事かしら?」 その声色は、本心を隠すようにしゃがれていた。
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小説『薔薇のしるべ』【第3回】最賀茂 真
「あの手紙が届いた時、一体何の事かと思ったわ」 薔薇が断ち切られた時間を再びつなぐ…
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小説『薔薇のしるべ』【第2回】最賀茂 真
青いシャドーに真紅のルージュをひいた友人。二十年ぶりの再会に嬉しいはずが…
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小説『薔薇のしるべ』【新連載】最賀茂 真
庭仕事をしていると誰かが訪れた気配がして見に行くとそこにいたのは…