岳也は鼻歌をうたいながら、ぶらぶらとスタジオに向かって歩いていた。友人がやっているバンドのドラムが腕を骨折して練習ができないから出てくれないか、と急遽頼まれたのだ。岳也は初見がきくし、バンドの楽器を一通りかじっているので、突然でも特に支障はない。そこを見込まれて、欠員を埋める役を今まで何度もこなしてきた。本番のステージにだって出たこともある。途中の急な坂道を上りきって、岳也は顔を上げた。歩道の柵…
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