第1章 日本人の精神を検証する
歴史が語る日本の人材力
私たち日本人が昔から人を財産として守り育てる文化を有していたことは、歴史上の資料で明らかです。室町幕府崩壊直後から日本に渡り布教活動をしていたフランシスコ・ザビエルの目に映った日本は概(おおむ)ね次のようなものでした。
私たちが日本人と交流することによって知りえた限りでは、この国の人々は今までに発見された国民のなかで最高であり、日本人より優れている人々は、異教徒のあいだでは見つけられないでしょう。彼らは親しみやすく、一般に善良で、悪意がありません。驚くほど名誉心の強い人々で、他の何ものよりも名誉を重んじます。大部分の人々は貧しいのですが、武士も、そうでない人々も、貧しいことを不名誉とは思っていません。④
日本の人々は慎み深く、利発であり、知識欲が旺盛で、道理に従い、またその他さまざまな優れた資質がありますから、彼らにおいて大きな成果が挙げられないことは絶対にありません。ですから、主なる神において、日本での大きな成果を期待しています。⑤
また明治維新が成功した下地は江戸時代にあったという定説がありますが、第14代徳川家茂(いえもち)の時代に在日英国公使官の書記官として来日したローレンス・オリファントは次のように述べています。