けれど彼は私に構う余裕はなかった。彼は家業を継がず家を出て、アルバイトをしながらの大学生活。大学の授業、学習塾のバイト、党員活動、そして新しい夢を追うための準備もしていた。私が復学し、Kさんはホッとしたようにしていた。別れの予感?というか、はっきり「最後のデートをしよう」と言われた。最後のデートは三月の海、しかも日本海。寒かったが無邪気に波打ち際まで行った。波と遊ぶ子犬を見るように彼は私を見てい…
新着記事一覧
-
エッセイ『運命に寄り添う、そして生きる[人気連載ピックアップ]』【第16回】輪月 舟
再会した彼は、交通事故に遭い、首から下が全く麻痺の状態に…。30年ぶりなのに、昨日会ったみたいに「よう、元気か?」と…
-
小説『約束のアンブレラ』【第11回】由野 寿和
雄大な藤山の前に佇む赤いコートを着た少女の絵――ぽつんと寂しそうに立っているように感じた
-
小説『カラスと少年 ―愛しき11種の動物とのふれあい物語-』【最終回】飯塚 舜介
おじいさんの家は築後200年の日本家屋。「ねえ、柱も鴨居もどこも墨で塗られて真っ黒だけど、なんで墨を塗るの?」
-
小説『赤い大河』【第14回】塚本 正巳
「それより、どうしてこんなところで働いてるの?」素直な疑問だった。彼女にとっては大切な場所を軽んじてしまった。
-
小説『オレンジ病棟』【最終回】朝丘 大介
病室に入ると、窓ぎわのベッドに座っていた水色のパジャマの中年男がにっこりと笑いかけてきた。和やかなムードの中…
-
エッセイ『繁殖犬になった華ちゃんのおはなし[人気連載ピックアップ]』【第5回】珠生 満ちる
「お隣の犬より小さくてかわいいわ!」おばあさん、ごはんとお水をください!わたしは今日なにも食べていません!
-
評論『人生の法則』【最終回】岩崎 勇,四海 雅子
変化の著しい現代に求められる「三断力」とは?
-
小説『今のこのままの日本でいいのか』【第4回】一粒 野麦
たまたまオルグに出向いていた父親に見初められた母。初々しいシュピレヒコールの姿が印象的だったようで…
-
実用『海外百ヵ国以上一人旅で考えた事・実践 文庫増補改訂版』【第4回】高木 真
江戸時代、旅行は原則禁止。なのに大きな「参りブーム(=神社・仏閣参りを口実にした、物見遊山の観光旅行)」は何回かあった
-
小説『兎角儚きこの世は』【第4回】白井 忠彦
「年貢を納めるのはお前達の義務だ。できないというのは国に反旗を翻すのと同じだ」そう言うと、棒で農民達を容赦なく叩き付け…
-
実用『仕事で悩む若者は適応障害なのか[注目連載ピックアップ]』【第18回】野坂 きみ子
何年もこの仕事をしてきたのに、新人と同じ評価を受ける屈辱。単に運とタイミングで、自分より能力が劣る者が正社員…労働に病むことに。
-
健康・暮らし・子育て『北の国のトイレ日記』【第4回】岡安 俊明
トイレ中、隣の風呂場から“バタン”の音。一瞬の静寂のあと、1歳の息子が激しくせき込む泣き声と、妻のあわて声が…
-
エッセイ『運命に寄り添う、そして生きる[人気連載ピックアップ]』【第15回】輪月 舟
遊びで妊娠。全身の血が引くのを感じた。しかも発覚時、彼とはとっくに別れていて連絡の取りようもなかった。
-
小説『約束のアンブレラ』【第10回】由野 寿和
卒業制作の条件は一つだけ――大学のシンボルツリー「紫藤の木」を描くこと。被害者女性が描いた卒業制作には…
-
小説『仙一』【第4回】古川 晋次
以前からタバコ屋のおばさんが好きだった。ただ、それは肌を重ねたいだけの性的な対象であり、恋愛したい理想の女性のイメージは…
-
小説『赤い大河』【第13回】塚本 正巳
違法カジノが警察に相談? 「どうせなら、もっとましな嘘をついたらどうだ」 店で暴れる男の最後は......
-
小説『義満と世阿弥』【第4回】貝塚 万里子
12歳の能役者・世阿弥に心を奪われ、興奮醒めやらぬ二条良基(55歳)の手紙「…この手紙は読んだらすぐ、火中に入れて下さい。」
-
エッセイ『繁殖犬になった華ちゃんのおはなし[人気連載ピックアップ]』【第4回】珠生 満ちる
わたしを買ってくれたおじいさん。でも、あまりわたしに興味がなさそう。暗くてむし暑い場所で、おなかがすいて、お水がのみたい。
-
小説『光と闇の相剋』【最終回】髙嶋 郷二
次の瞬間、左の肩が急に重たくなり、耳鳴りがした。奇妙な灯火が現れたかと思うと、その光はだんだん近よってきて…
-
エッセイ『ナマステ紀行』【第12回】桝田 祐子
選ばれし少女はクマリという神になる。肝の据わった少女を選び抜くため、少女は生け贄となる動物の頭部が並べられた暗い部屋へ閉じ込められる。