第二章 私の学生期~家住期
22歳~75歳までの「家住期」 一家の主として
年齢は58歳になっていました。この年齢では再就職は難しいだろう。引退するには早すぎる年齢とは思いつつ、次の就職のことを逡巡していたところに「起業」の相談を持ち込まれました。
「予期せぬ出来事」が舞い込んできたことで、大いに悩みました。このまま無事に会社員としての生活を終了して、隠居生活を始めるか、人生最後の挑戦をするか、まずは独りで熟考しました。
そして、知人の税理士にも相談しましたが、当然の如く止められました。「すべてを失う覚悟はあるのか?」と。
これからの長い老後生活で何もかも失った場合の事を想像すれば、慰留されるのが当然です。家族や親族からも当然の如く強く止められました。しかし、人生一度のチャンスであることも間違いありません。
最初の出資金を限度とし、それ以上は家庭に負担をかけないことを条件に、最終的に了承を得ることができました。
事業の内容は、以前仕事をしていたコンピューター会社の製品関連のサービスを提供することに集中しました。市場の規模は大きくありませんが、競合相手が限定的で、大会社が参入しないニッチ市場を対象にしました。
加えて、仕事は景気に左右されない、むしろ不景気の時の方が、需要が増えることが期待されました。顧客は、口コミで少しずつ増えていきました。
また、以前の会社の友人からの紹介も得ながら売り上げも着実に増えていきました。紹介された顧客が大口顧客になり、友人には大いに感謝しております。