プロローグ

やってきました! いよいよ75歳、私の年齢でございます。

この本では、75歳の私が、人生100年までの時間を有意義に、そしてイキイキ過ごす方法を模索している様子と考え方、実践していることを綴りたいと思っております。

人生100年について考えたひとつのきっかけは、テレビのコマーシャルだった気がします。ひまわり畑の中に立つ麦わら帽子をかぶった少年が、「100年生きるって幸せですか?」「おもしろくなりそうですか?」と問いかけていたのです。

どうなるでしょうか。

人生75年、めざすは毎日が幸せいっぱいの「隠居生活」を送ることでございます。私の世代では、人生50年という人生観を抱いて生きてきた人も少なくありません。『LIFE・SHIFT』(アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン著/池村千秋訳)という本によると、2007年に生まれた日本人の約半数が107歳まで生きる可能性がある、というようなことが言及されていますし、私の周りをみても、高齢者の多さは実感できます。

今まさに、私たちはこれまでの「勉学―就職―定年」という3ステージの人生から、もっと複数のステージを経験する人生にシフトしなければならないのです。

そのために必要なのは「LIFE・SAVE」ではないかと思うのです。高齢者にもっとも必要なのは、「老後の安心感」と「安全な将来」です。

新聞、雑誌、ウェブなどの記事の見出しを見ると、「定年崩壊」、「格差社会」、「家族崩壊」、「下流老人」等、耳を覆いたくなるようなものが目立ち、気になってしまいます。

75歳の老人でも残された人生を「面白く生きなければ」、「うれしいことを増やさなければ」、という意欲と好奇心があれば幸せな老後を迎えることができます。

これまでは、もちろん自分のためではありましたが、主には家族のため、生活のための人生で、それも生きがいであり喜びでした。これからは、長年待ち望んでいた「自分自身のため」の人生を楽しむことが許される時間です。

「超隠居生活」に向けて、まず手に入るのがこの自分自身のための「自由」な時間です。

私はこの本の中で、自分の生涯を4つに分けて考えていきたいと思います。4つに分けたのは、「四住期」というライフスタイルで、バラモン教の考え方を知ったときに「なるほど」、と思ったのと、五木寛之氏著『林住期』を読んだときに、「林住期」はもっとも輝かしい第三の人生と書かれていたことに影響を受けたからです。4つの期は、このように分かれております。