【前回の記事を読む】一秒以上秒針が止まって見える「クロノスタシス」のメカニズム

聴覚

聴覚についてです。私達は、誰かと会話をしているときや、何かの音を聞いているとき、相手の声や音が、その発声や音が鳴ったのと同時に、リアルタイムに聞こえていると感じています。

でも、聴覚では、まず、音による空気の振動が鼓膜を振動させ、耳小骨がその振動を増強し、蝸牛が感知し、刺激が側頭葉の一次聴覚野(聴覚皮質)に到達し、さらに高次の聴覚野や、他の皮質に伝達され、またおそらくは、記憶情報との照合を経て、聴感覚が成立し、聞こえることになると考えられますので、刺激が鼓膜に到達してから実際に聞こえるまでには、ある一定の時間が必要と考えられるわけですので、こちらも視覚のときと同様に、全くの同時(リアルタイム)ということではないはずなのです。

ただ、聴覚の場合は、視覚ほど時間がかかっていない印象があります。ここで、その聞こえるという感覚に、遅れがあることを認識できる状況があります。その一つがカクテルパーティーの際のものです。